2019.8.31-9.1 富士スピードウェイ第3戦でついに待望の初優勝!
続く第4戦も2戦連続のポール・トゥ・ウィンで飾る!
波乱の第1大会から3カ月以上のインターバルを挟んで迎えた第2大会は、夏の熱気を残しながら、時折吹く風に秋の気配を感じさせる8月31日・9月1日に行われた。今回のレースウィークは、レースに勝つために必要な強さとはなにか?それをK-tunes Racingが持ち合わせていることを明確な結果として示した2日間だった。
8月31日に行われた予選。ジェントルマンクラスの末長一範選手がコースインし、20分間の計測に挑む。前日の練習走行でマシンに対して好感触を得ていた末長選手は、「いつもは状況を伺いながらアタックすることが多かったんですが、今回は初めから積極的に行こうと思っていました」と、果敢にアタックを重ねていく。
まず、1分51秒636をマークし、その後も51秒272、50秒487と攻めの姿勢を貫くことで着実にタイムを縮め、アタック6周目には49秒699というタイムを叩き出す。さらなるタイムアップも狙えたはずだが、予選終盤は他のクルマに引っかかってしまう場面もあり、残念ながらタイムアップはならず。しかしコンスタントに49秒台をマークするなど、いい走りを見せた末長選手は、Gクラス予選トップとなり、総合でも3番手から決勝レースに臨むこととなった。
「練習走行でいろいろと気づいたことがあって、最後のセッションではいい感触を掴めていたので、いい形で行けるかなと思っていました。予想していた以上の結果でしたね。決勝レースは、前にいるエキスパートクラスの選手に離されないような走りをしたいですね」(末長選手)
12周で争われる決勝レース第3戦は、土曜日の午後に行われた。末長選手の前にはライバルの姿はない。上級となるエキスパートクラスの2台の争いを見ながら、レースを進めていくことになる。しかしすぐ後ろ、2周目に総合4位争いを展開していた4台がTGRコーナーで接触し大きくタイムロス。これで後方からのプレッシャーがなくなり、自らの走りだけに集中できる時間となった。6周目には1分51秒009というジェントルマンクラスのファステストラップを記録。その後も51秒台をキープし、追いかけて来る#3大蔵峰樹選手との差を逆に広げていく。
結果としてジェントルマンクラス初優勝を、ポール・トゥ・ウィンで決めてみせた。総合でも3位でのチェッカーとなった。「予選の結果がよかったので、あのペースで決勝レースもしっかりと走ることができれば、表彰台のいいところは取れるかなと思っていました」と分析。翌日の第4戦に向けては、「前を行く永井選手が見えるくらいに着いていくことができた。第2レースでも前を意識したレースができればいいですね」と語ってくれた。
その第4戦、直接のライバルは5番グリッドについた大蔵選手だが、第3戦では最終的に10秒060ものギャップを築いた。そのレースと同じく、前を行くエキスパートクラスの2台を見える範囲で追っていければ自ずと結果はついてくるというのが、末長選手のレースプランだ。2連勝を狙うというのは決して難しい仕事ではないように思えた。
果たして、序盤から前日の展開をトレースしたかのようなレースとなった。末長選手は先行する2台が見える位置で走り、ペースを乱さず、落ち着いたレース運びで周回を重ねていく。第3戦と違うのは速さがより際立っていたことだろう。オープニングラップで1分50秒015を出すと、2周目には1分49秒876、4周目にはこのレースのベストとなる1分49秒674を記録。レース後半こそ、タイヤの消耗や周回遅れが出てきた影響でペースを落としたものの、最後まで安定感が削がれることがなく、ジェントルマンクラスのトップを堅持したままチェッカーを受けた。2戦連続のポール・トゥ・ウィンである。#73小山美姫選手のペナルティによって、総合でも2位となった。
ポディウムの一番高いところで会心の笑みを見せた末長選手は、「昨日が予選、決勝ともにいい結果を残せていたので、それを引き続きできればと思っていました。(レースの展開としては)あまり後ろを気にせず、前を行くエキスパートクラスの永井選手を追っていこうと思っていた。そのおかげで49秒台をコンスタントに出していけたし、落ち着いてレースができました」と第4戦を総括。2連勝の喜びはもちろんあるが、この週末に掴んだいいイメージをさらなる高みへと昇華させることが、次戦に向けたミッションのひとつであることも語っていた。
2019.8.31-9.1 富士スピードウェイライバル野尻智紀の6連勝を阻むのは
やはり中山雄一だった!
「去年は夏場のレースで全然ダメで、トップ集団はおろか、5、6番の集団にもついていけない状況だったんです。それを考えれば、この暑いコンディションのなかできっちり結果を出せたのは収穫ですね。エンジンが遅いことが悩みの種でしたが、今回は直線もだいぶ速くなってきているので、それが予選の結果に繋がりました」
プロフェッショナルシリーズの予選、ポールポジションの#7野尻智紀選手にわずか0秒094届かなかったものの、#96中山雄一選手は2位を獲得した。ワンメイクレースだけにマシンの差はレースに大きく響いてくる。マシンの性能を使い切るプロドライバーにとっては、とても大きい。
今回のレース、注目すべきは、その野尻選手がどこまで連勝記録を伸ばすのか?あるいは逆に誰がSTOPをかけるのか?なにしろ昨年第4大会のインタープロトデビュー戦から年を跨いでの4連勝。まだ負けたことがないのだ。
そこに#37阪口晴南選手や#73福住仁嶺選手といった速さを持つ若手ドライバーも新規参入。インタープロトシリーズに急速に世代交代の波がやってきたかのような雰囲気が流れている。彼らの若い力が野尻選手を止めるのか?
しかし予選が終了し、そこに立ちはだかるのは最もインタープロトシリーズを戦ってきた中山選手であることは明らかだった。野尻選手とは同じレースを戦いながらステップアップしてきた、同世代の完全なるライバルだ。それ以上に、インタープロトシリーズを支えてきた中山選手にとって、デビュー戦以来負けナシで連勝を続ける野尻選手を座視するわけにもいかないだろう。
日曜日は晴天。スタート時間である15時30分が近づいても暑さが残っている。
フォーメーションラップの後、切られたローリングスタートでは鋭いダッシュを決め、ポールシッターの野尻選手に仕掛けていくがTGRコーナーで曲がりきれず、3番グリッドからスタートした福住選手に先行を許してしまう。3番手にポジションを下げたが、2周目のコカ・コーラーコーナーで福住選手を抜き、ポジションを戻してトップの野尻選手を追う。
その後方では、福住選手を抜いて3位に上がってきた坪井選手が毎周回ごとに迫り、その差は0秒786まで詰まるが、2位のポジションをキープしてフィニッシュとなった。
結果として第3戦、野尻選手は中山選手の目の前で、5連勝をポール・トゥ・ウィンで飾ってみせた。
間髪入れず行われた第4戦、第3戦と同じく2番グリッドからのスタートなる中山選手のプランは、もちろん野尻選手をどこで捕らえ、どうやって抜き去るかだ。
スタートを無難に決め、後続をうまく抑えながらトップを追う。野尻選手との差を着実に詰めていくが、後方からは3番手の坪井選手がファステストラップを出しながら迫ってくる。5周目にはトップを走る野尻選手を含めた三つ巴のトップ争いという、インタープロトらしい展開になった。
そして6周目、ついに中山選手が勝負に出る。TRGコーナーでアウトから野尻選手に仕掛けるが、コースの外に追いやられてしまう。しかし、ここからが第4戦のハイライトだ。コースへとマシンを戻し順位を維持したまま、コカ・コーラコーナーの進入では野尻選手に並びかけてイン側を奪取し、そのまま抜き去りトップに躍り出た。ここで仕掛けたことについて中山選手は、「第2レースもタイヤを温存しつつ、最後に勝負をかけようと思っていたんです。だけど、坪井選手のペースがかなり速かったので、自分が考えているよりも早いタイミングで勝負する必要が出てきた」とシーンを振り返る。
トップに立ったあとは、後続の2台から攻められるものの慌てるようなシーンはなく順位はそのまま。終盤、2番手に上がった坪井選手がプッシュしてくる場面もあったが、危なげなく凌ぎ切り、1位でチェッカーを受ける。
およそ1年ぶりの優勝を果たした中山選手。これがインタープロトを熟知した男のレース運びで、ついに野尻選手の6連勝を阻んで見せた。
マシンのコンディション、チーム力、そしてドライバーの磨かれた技とスピリット、これらすべてが噛み合ったときにこそ真の強さが発揮される。それが、K-tunesRacingが獲得した勝利の裏にあることは間違いないだろう。
コメント
Gentleman Driver末長一範
今回のレースは、金曜の練習走行のときに得られた感触をキープできたことが大きな勝因ですね。このイメージを生かして、次は48秒台に入れて、エキスパートクラスとの差を埋めていきたい。そうい う目標にチャレンジすることで、走りをより高みに引き上げたいです。チャレンジの課程ではミスやトラブルがあるかもしれない。リスクもあるでしょうが、それらにうまく対処できるよう、技術を身に着けていきたいです。
Professional Driver中山雄一
予選が速くても、決勝ではペースが上がらないとか、インタープロトはスタートしてみるまでわからない部分が多いんです。だから焦りはなかったですね。クルマから感じられるフィーリングには好感触を得ていたので、自分が考えていたレースプランを実践できた。クルマがここぞというときに応えてくれるし、最後までパフォーマンスが落ちることなく走りきれました。根気よく、諦めずにクルマを仕上げてくれたチームに感謝したいですね。