K-TUNES RACING

2019.10.19-10.20 富士スピードウェイ雨に翻弄されながらも冷静なレース運び
だが第6戦リタイヤで連続表彰台はSTOP

第2大会では末長一範選手が2連勝し、ジェントルマンクラスのポイントリーダーとなった。シリーズチャンピオンを見据え、10月19日~ 20日に行われた第3大会は岡山トヨペットK-tunesにとって重要な一戦に違いなかった。

10月19日、ジェントルマンクラスの予選、天候は雨。場所によっては濃い霧が発生している状況でのアタックとなった。路面コンディションを掴むべく慎重にアタックする末長選手だったが、2周目に2分07秒925をマークすると、次のラップで2分07 秒107 のベストタイムを記録する。その後もアタックを続けたものの、やはりコンディションの難しさはいかんともしがたくタイム更新はならなかった。しかし、いずれのジェントルマンドライバーも、タイムをまとめることに苦慮していた状況は同じ。結果として総合3位、#73大蔵峰樹選手に続きジェントルマンクラス2番手という予選となった。予選が終わって間もなく朝の天候が嘘のように晴れ、他のレースでマシンが走行したこともあり、路面もすっかり乾いていた。決勝レースはドライコンディションでいけると思いきや、マシンがスターティンググリッドに付くためにコースインし始めると、その直後から天候が怪しくなってくる。まるでタイミングを見計らったかのように霧雨が降り始めたのだ。だが各マシンともタイヤを替えず、スリックのままでフォーメーションラップがスタート。

しかし雨脚は徐々に強まり、路面は完全なウェットに。スタートは切られたものの、各車ともペースが上がらない。 タイヤがスリックのままではスピン、あるいはコースアウトする危険性が高い。K-tunes Racingはレインタイヤへの交換の判断を下し、オープニングラップ終わりでマシンをピットに呼び寄せる。
レースは、スタビリティコントロールやABSといった電子デバイスを装備し、コンディションの悪化をものともしないCCS-Rのマシンが上位を走るという、インタープロトシリーズ史上初めての展開で進んでいく。そのなか末長選手はタイヤ交換後、2分4秒台をコンスタントにマークし、7周目には2分2秒763というベストラップを記録する。レース中盤から後半にかけて雨は小康状態となったが、路面はまだ濡れた状態。スリックで出たときがものすごく不安定だったから、タイヤを換えたことによる安心感は大きかった」と語る末長選手は、タイヤ交換後は終始安定した走りを見せる。

ピットインによって総合13位まで落とした順位も、7周目に#8けんたろ選手、8周目には#37八木常治選手をパスして着実に上げていく。
レース後半はさらに前を追うこともできたが、結果として総合9位、ジェントルマンクラス3位でフィニッシュとなった。翌日行われた第6戦は、霧雨から少しずつ雨の気配が強まるなか、セーフティカー先導でのスタートとなった。5番手からスタートする末長選手の前には、#55虫谷泰典選手、#3フライングラット選手、#7とおる君選手というライバル達が並ぶが、どのようにして前へ出るかが、チャンピオン獲得への道筋となる。

セーフティカーがピットに戻り、レースがスタートする。ポールスタートのエキスパートクラス#32永井秀和選手が抜け出し、その後は各車グリッド順で続いていくが、末長選手を含めた4位争いが熾烈を極めていた。コカ・コーラーコーナーの進入でフライングラット選手が、4番手を走る大蔵峰樹選手に仕掛けるが抜き切れず、体勢を崩す。その間隙を縫って末長選手が一旦はフライングラット選手の前に出るが、直後に先行を許してしまう。まだレースは序盤。先行するマシンのペースが上がらないことを考えれば、勝機は十分に残されていた……はずだった。
そして4周目のダンロップコーナー、末長選手の行く手を塞ぐような形で進入してきたフライングラット選手のマシンと接触。コースアウトこそ免れたものの、右前輪にダメージを受けそのままピットイン。ここで末長選手のレースはジ・エンドとなってしまった。リタイヤという結果となり、4戦連続の表彰台は叶わなかった。
第5戦、6戦ともに目まぐるしく変わるコンディションに対し、素早い判断と対応力で戦えていたことを考えると、じつに悔しい結果ではある。しかし、この難しいレースに挑み、手応えを感じられたことは末長選手、そしてチームにとって大きな収穫だったはずだ。

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2019.10.19-10.20 富士スピードウェイ予選7位から見事2位表彰台を獲得
シリーズチャンピオンまであと一歩

気まぐれな雨に翻弄されたジェントルマンクラスとはうって変わり、プロフェッショナルクラスは予選、決勝レースともにドライコンディションで行われた。金曜日の練習走行も雨だったが、土曜は雨量も少なく、路面は徐々にドライに変化していくという予想のもと、中山選手とチームはドライ用のテストをしていたというが果たして。

予選開始直後こそ路面はウェットだったが、周回を重ねる毎に乾いていき、最後にはほぼドライになった。まさに予想通りだが、「こうした状況下では、最後の周回でどの程度乾いているかを予測して攻めていけるかが勝負のカギになる」と語った中山選手は、コンスタントに2秒台をマークし、最終ラップで2分1秒535という好タイムを叩き出す。3番グリッドからのスタートかと思いきや、このアタックで走路外走行の判定を受けてタイム抹消。その前の周で記録した2分2秒037が採択され、7番グリッドからのスタートとなった。
迎えた決勝レースは、天候は曇り、雨の気配もない。ジェントルマンクラスのレースで受けたマシンのダメージは完全に修復され、グリッドでそのときを待つ中山選手に不安は皆無だった。

スタートは大きな混乱もなく、#32坪井翔選手がレースを引っ張る展開。中山選手は1コーナーで#8富田竜一郎選手を交わして6番手に上がる。中山選手の眼前では、#37阪口晴南選手、#7野尻智紀選手、#16ロニー・クインタレッリ選手が三つ巴の激しいバトルを繰り広げていた。中山選手は、このバトルの間隙を縫ってダンロップコーナーで#73福住仁嶺選手、阪口選手をかわして順位を5番手に上げる。さらに2周目の1コーナーで野尻選手を攻略して4位にポジションアップ。
一見すると順調にポジションを上げ、上位を狙っていけると思われたが、その実、中山選手にとってはかなり厳しいレースだったという。たしかにレース後、中山選手が「序盤は思うようにペースが上がらなくて防戦一方でした」と語ったように、第5戦は、前を追うというより、後方に迫る福住選手、阪口選手を抑えるレースを強いられていた。とくに福住選手のプッシュは3周目以降激しさを増していく。5周目のホームストレートでスリップストリームから抜け出した福住選手に一旦は先行を許すものの、すぐさま1コーナーで抜き返して4番手を堅持したまま周回を重ねていく。その後も、福住選手の執拗な攻めが何度も続くが、それらすべてを凌ぎきって4位でのフィニッシュとなった。

間髪入れずに行われる第6戦は、4番手からのスタートとなる。インタープロトでは、ローリングスタートを採用しており、シグナルが青になる前からの駆け引きも見どころとなっている。ここで中山選手は、#55山下健太選手の抜く気満々の動きから、坪井選手と山下選手の争いに3番手のロニー選手がタイミングを惑わされると読み、そこでかわすことを狙っていた。その狙いは見事に成功。そのシーンについて中山選手は、「ここで抜けずに、ロニーさんの走りが落ち着いてしまうと攻略がすごく難しくなる。1周目で抜けたことで、その後の展開が有利になりました」と振り返った。
さらに、後半に向けてペースが上がってくる。第5戦のベストラップが1分47秒100だったのに対し、第6戦は1分46秒台をコンスタントにマーク。ガソリンが減って車重が軽くなった状態にセットアップがうまくハマったことがペースアップに繋がったようだ。

レース終盤、前を行く山下選手のペースが落ちてきたのを見て、「このままだと、トップに逃げられる可能性もあったので、抜くしかない」と判断。7周目の1コーナーでパスし、トップを行く坪井選手への挑戦権を獲得する。依然としてペースは中山選手のほうが速く、2位に上がった7周目には、1分46秒511のファステストラップを記録し、その差を0.548までツメる。しかし、坪井選手も最後に余力を残しており、築いたマージンを生かして逃げ切りに成功。中山選手は2位でのフィニッシュとなった。
これによって中山雄一選手は、野尻選手を逆転し、シリーズポイントトップへと踊り出た。その点差は大きくないものの、第4大会の第7戦、第8戦をいずれも2位となればチャンピオンが決まる。中山選手にとって2016年以来2度目のチャンピオンは、K-tunes Racingにとっては初の栄冠となる。

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コメント

  • 末長一範
    Gentleman Driver末長一範

    予選、決勝レースも微妙な雨量に悩まされる、とても難しいコンディションでのレースでしたが、うまく対応ができていたと思います。予選のタイムをもう少し上げられればとは思いましたが、悲観するほどではないし、決勝レースも早い判断から巻き返して、悪くない展開だったと思います。結果がついてこなかったのは残念ですが、こういうことがあるのがレースです。マシンも、自分自身もいい状態なので、気持ちを切り替えて最終戦に挑みます。

  • 中山雄一
    Professional Driver中山雄一

    予選が7番手だったので、第5戦の序盤はペースが上がらなかったので、追い上げたところで終わってしまいました。しかし、このレースは最後のほうでしっかりと順位を上げていくことが重要なので、最終的にいい結果に繋がりました。次は最終戦ですが、クルマの調子もいいので、次戦も表彰台を獲れると思います。今のパフォーマンスを維持してレースができれば、自ずと結果はついてくる。しっかりと準備して、最終戦できっちり決めたいと思います。

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