K-TUNES RACING

2019.11.2-3 ツインリンクもてぎ苦戦が予想された不得手な最終戦もてぎ
予選の失敗を跳ね返す激走で3位表彰台

2019年シーズン最終戦、K-tunes Racingは今年もチャンピオン争いのリストの中に残っていた。第7戦までのポイントでは、昨年はトップと16ポイント差で、今年は14.5ポイント差。その差はわずかに縮まったが、違うのはシリーズランキングが5位から2位となったこと。チャンピオン争いは他に2台、#56リアライズ日産自動車大学校GT-Rと#4グッドスマイル初音ミクAMGは優勝+ポールポジションという完全勝利が最低条件であり、事実上#55ARTA NSX GT3と#96K-tunes Racingとの一騎討ちの様相となっていた。

しかし14.5ポイント差というのも大きな差で、最低でも2位以上という条件が付く。そして、それ以上に厳しいと思われたのがLEXUS RC F GT3とツインリンクもてぎのコースとのマッチングだった。優れたハンドリング性能で鈴鹿やSUGOなどのコースでは高い競争力を持つものの、エンジンパワーの部分ではライバルたちに対してハンデがある。つまり、ツインリンクもてぎでは、不利なのである。
シリーズチャンピオンは実際の数字以上に、現実は遠く離れてしまっていた。

しかし予選を直前に控えた土曜日午前中の公式練習、新田守男選手は1分46秒914で8番手のタイムをマークする。トップタイムをマークしたのはライバル#55ARTA NSX GT3だったが、その差は約0秒6とそれほど大きくない。チャンピオンはともかく、チームには今シーズンを締めくくるにふさわしいレースになると確信が拡がっていた。
その公式練習、さらにサーキットサファリと細かなセッティングを煮詰めていく。その作業もまた順調に進んでいった。

午後の公式予選、アクシデントは起きた。予選Q1、アタックに入り新田守男選手はセクター1、セクター2と素晴らしいペースでコースを進んでいった。トップタイムには届かないものの、その差は0秒3程度であり、上位でのQ2進出が予想されていた。しかし最終コーナーの立ち上がり、ストレート上でスピン!スペースがあったためクラッシュはなかったのが不幸中の幸いだった。新田守男選手は無事再スタートを切り、2度目のアタックに向かう。すでに予選終了までの時間は少なく、残されたチャンスは1度だけ。

しかし、すでにピークが過ぎていたタイヤは、さっきのアタックラップのようなグリップが出ない。そのタイムは1分47秒360で17位。わずか0秒046届かず予選Q2に進出できなかった。
予選上位という予想は一転、予選Q2に進めなかったことで、チャンピオン争いはおろか、シリーズポイント2位を守ることも怪しくなってきた。シリーズランキング上位のマシンたちはいずれもトップ10に入っていて、逆転される可能性が大きくなってしまったのだ。

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2019.11.2-3 ツインリンクもてぎ苦戦が予想された不得手な最終戦もてぎ
予選の失敗を跳ね返す激走で3位表彰台

決勝レース、日曜日はこの時期としては比較的温かかった土曜日までとは違い、曇天の空が日差しを遮り、路面温度は低かった。最後まで諦めないでチャレンジすることを決意したK-tunes Racingは早めにドライバー交代を行うことも折り込み、ハードタイヤを用意したのだが、もう少し温度が必要に思えた。

だが激しく追い上げていった2人のドライバーの熱い走りが、そうした懸念を吹き飛ばした。スタートドライバーの新田守男選手は、3周目に16位、6周目で15位、7周目に14位、8周目に13位と着実にポジションを上げていく。10周目に12位、11周目に11位、そして12周目に9位とトップ10に入った。その勢いは続き、13周目に8位に上がり、さらに前を走るマシンとのギャップを詰めていく。

そして16周目、96号車はいち早くドライバー交代を行った。ポジションは22位にまで落ちたが、そこから阪口晴南選手は1分49秒台というライバルたちを圧倒するタイムを刻み、ドライバー交代していないのではるか前方に居る上位陣との差を詰めていく。ファステストは取れなかったものの、阪口晴南選手はこのレースで2番手のタイムをマークすることになる。

上位陣のドライバー交代が終わった23周目、96号車は7位となっていた。トップはもてぎを2連覇中の#65LEON PYRAMID AMGで、チャンピオンを争う#55ARTA NSX GT3は5位。まず29周目、20秒以上先行していた#88T-DASHランボルギーニGT3をオーバーテイクし6位。33周目には#56リアライズ日産自動車大学校GT-Rを捕らえて5位へ。そして39周目には10秒近く差があった#4グッドスマイル初音ミクAMGをオーバーテイクして4位へ上がり、ついに55号車の後ろに付けた。
オーバーテイクしても、55号車は5位以内で96号車が優勝してもチャンピオンとなる。残り周回数はすでに10周を切り、差は約7秒。普通なら無理なアタックはしないだろうが、阪口晴南選手に迷いはなかった。毎Lap1秒以上差を詰めていき、44周目に一発でオーバーテイクを決めてみせた。

レースはファイナルラップの終盤、トップを走る65号車にガス欠症状が出てスローダウン、2位を走っていた#11GAINER TANAX GT-Rが優勝した。K-tunes Racing 96号車は、2戦連続の3位表彰台を獲得。今シーズンは2勝を含めて、全8戦中4レースで表彰台に立ち、シリーズランキング2位となった。
シリーズチャンピオンは#55ARTA NSX GT3が輝いた。そのドライバー高木真一選手は、新田守男選手とコンビを組んでいた2002年以来17年ぶり2度目。今シーズンからフル参戦している福住仁嶺選手は、もちろん初。1勝を含めて表彰台3回の彼らがチャンピオンに輝いたのは、全戦でポイントを獲得したためだ。

2年目のシーズン、K-tunes Racingはさまざまな面でレベルアップを果たした。それはレース結果にも反映されていることは間違いない。それがチャンピオンを狙う3年目のシーズンを戦うための、重要な礎になるに違いない。

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