2021.5.3-4 富士スピードウェイ予選ではそれなりの速さを見せたものの
レースペースに苦しみ14位で終える
6位入賞という幸先の良いスタートを切った、2021シーズンのK-tunes Racing。ほとんどダンロップタイヤのデータがなく、手さぐりの状態で戦った昨シーズンから比較して、進歩するのは当然の流れではあった。そして良い結果を得ることにより、パフォーマンスが実証されたデータが増えていき、それがさらに結果を引き上げていくことにつながる。悪い結果から得られるのは、除外されるべきデータでしかない。
シリーズポイントを5獲得したことによって、15kgのウエイトを積み込むことにはなった。昨年までは「ウエイトハンデ」と呼んでいたが、今シーズンからは「サクセスウエイト」と呼び、いわば優秀成績者へのプレゼントというわけだ、全く嬉しくはないが。
2度の公式テストから参加し、SUPER GT初参戦も果たした平良響選手も、すっかりチームに溶け込んでいる。ルーキーらしからぬ落ち着いた雰囲気は、安心感を持てるほどだ。ただし影山正彦チーム監督は「まだまだ色々と学んでもらって、進化してもらいたい部分がありますね。燃費とか、タイヤの使い方とか。彼がこれからステップアップしていくためにも、必要なことです」という。燃費やタイヤを持たせる、といったことはレース戦略に柔軟性を与えるだけでなく、例えば1段階ソフトなタイヤを使える、といった速さへと還元することも可能になる。
ゴールデンウィークの富士は、通常の300kmではなく、500km。現在はシリーズ最長の距離となっていて、ドライバー交代は2回必要になるため、チームによってはドライバーを3人登録しているケースもある。
大きなトピックスのひとつは、FCY(フル・コース・イエロー)が導入されたことだろう。イエローフラッグは安全確保のために、提示されている部分で減速&追い越し禁止となる。それをコース全域で同時に行うのがFCYで、SUPER GTの場合には80km/hという速度制限がかけられる。セーフティカーを出すほどではない状況で、FCYが発動し、全車が同時に同じ速度まで減速し、前後間隔を保持したままレースは続行される。スピーディな再スタートが可能で、運不運に影響されることも少なくなる。
予選直前に行われる公式練習では9番手のタイムを記録。3月末の公式テストでも2番手タイムを出しており、苦手意識のある富士スピードウェイではあるが、予選に期待できそうな空気はあった。
予選Q1、新田守男選手のアタックで1分36秒925で見事7番手となり、Q2進出を決めた。その新田守男選手からのフィードバックを受け、マシンのセッティングも微調整して望んだ予選Q2だったが、平良響選手のタイムは伸び悩み1分36秒871。他のマシンの大半がタイムアップしたこともあり、13番手で予選Q2を終えた。
しかし決勝レースは500kmという長距離であり、ミスなく望めば入賞圏内は十分に狙える位置ではあった。
決勝レースのスタートドライバーは平良響選手で、新田守男選手、そして再び平良響選手がステアリングを握ってゴールという戦略。
平良響選手にとっては初のスタートドライバーだったが、スタート直後の混乱したコース状況には慣れも必要だったようで、オープニングラップで16位にまでポジションを下げてしまった。
レースは早くも2周目にクラッシュしたマシン回収のためにセーフティカーとなり、6周目に再スタートとなった。しかし平良響選手のペースは上がらず、前のマシンとの差は開く一方だった。
それでも上位のマシンのトラブルなどもあり、新田守男選手へと交代する25周目の時点では13位までポジションを戻していた。だが、バトンを受け取った新田守男選手もまた、ペースに苦しむ。スタートは予選で使用したタイヤを使わなければならないが、それ以降はニュータイヤが使える。だからこそ新田守男選手のペースが重要なカギとなっていた。
ドライバー交代のタイミングは各チームがそれぞれ戦略的に決めている。まだタイヤがフレッシュなマシンも居るだろうし、そろそろピットインするタイヤが限界に近いマシンもコースを走っている。しかしK-tunes Racing 96号車は、前を走るマシンを捕らえることができない。上位のマシンのピットインやトラブルによって、順位を取り戻すだけという戦いになってしまった。
63周目、再び平良響選手へとドライバー交代。このピットインの時に、リヤタイヤのロックナットが入らないというトラブルが発生。新しいロックナットに交換した分がタイムロスとなり、21位にまで順位を落としてしまった。それでも平良響選手は残り39周をしっかりと走り切り、何とか14位にまでリカバーしてチェッカーフラッグを受けた。
長い距離だけに、レースペースが良くないことが大きく響いてしまったレースとなった。
コメント
影山正彦 チーム監督
「いろいろとミスもあったし、そういう意味では問題点が明らかになったレースでした。それらを修正して、次はマシンとの相性が良い鈴鹿ですから、しっかりと結果に結びつけたいですね」
新田守男 選手
「想定したペースで走ることはできたんですが、他のマシンとの差が大きくて結果的に戦える状況ではありませんでした。マシンのセットアップを含めて、もう一度見直して次の鈴鹿に臨みたいですね」
平良響 選手
「細かいミスをいくつかしてしまって、とくにスタートの時に混乱した状況の中で何台かに抜かれてしまって、悔しかったですね。最後のセクションでは路面温度が下がり、タイヤの磨耗も進み、ペースも大きく落ちてしまいました」