2021.7.17-18 ツインリンクもてぎ後半の追いあげで入賞も見え始めていたが
残念ながら届かず、2戦連続の13位に終わる
シリーズ第3戦として予定されていた鈴鹿ラウンドが8月に延期されたことで、2カ月以上のインターバルを経て開催されることになった第4戦もてぎ。ちょうど関東地域の梅雨明け時期に重なっており、長梅雨なら雨、早めの梅雨明けなら夏、という絶妙なスケジュールとなっていた。
そして実際、関東一帯の梅雨明け宣言が7月16日、レースウィークの金曜日というタイミングで出された。昨年より2週間早かった。梅雨時期のジメジメ空気の中、強い日差しが刺すツインリンクもてぎは、まだ夏に順応していない身体にとって、過酷な暑さに感じられた。
また、雨が降ればレースはいろいろな波乱が起きやすくなり、それが意外な結果をもたらす可能性もあったのだが、そうした期待は霧散していた。
ツインリンクはLEXUS RC F GT3にとって得意なコースではない。結果だけを見れば、K-tunes Racingは過去3年間で4度もてぎでのレースを経験、そのうち入賞は3回、表彰台1回と、成績自体は悪くない。しかしそれは雨だったり、アクシデントだったり、そうした転がり込んできたチャンスをひとつずつモノにしてきた成果でしかない。
しかも今シーズンから導入されたFCY(フル・コース・イエロー)によって、セーフティカーとなるケースは減少している。正攻法で戦って、結果を残すことができるのか?
ドライバーラインナップは、今回もまたレジェンド新田守男選手と、ルーキー平良響選手のコンビネーション。今シーズンレギュラードライバーであるはずの阪口晴南選手は、今年の公式テスト、レースともに、一度もK-tunes Racing 96号車のステアリングを握っていない。
しかしその分だけ平良響選手の走行機会は確保されており、すでに3レース目ということであれば、マシンにも、チームにも、習熟する時間は十分なことだろう。
公式予選、Q1は新田守男選手が担当した。15台のうち上位8台がQ2進出となる。かなり高温となった路面によって、タイヤの磨耗と負担が大きくなるため、最小限の周回数でQ2進出となるラップタイムを記録したい。ピットレーンのオープンから2分ほど待ってコースインすると、ゆっくりとタイヤをウォームアップさせ、タイムアタックに入っていく。
最初のアタックでは1分49秒702を記録、その時点で暫定9位。そのまま2回目のアタックに向かったもののタイムアップできず、結局11位に終わり、Q2進出とはならなかった。最終的には予選22番手となり、全29台のエントリーの中で22番グリッドからのスタートとなった。
唯一の良いニュースは、レース後半に使えるミディアムが新品のまま残ったこと。後半からの追いあげが実現すれば、それを有利に進めることができる、ひとつの要素になるに違いない。
また、そのレース後半を担当する予定の平良響選手は、公式予選直前の公式練習で、レースを意識したロングディスタンスを試しており、準備は万全といった構えだった。
決勝レースは、梅雨明け直後ゆえの快晴。夏の強い日差しがアスファルトを加熱し、ピットロードで計測した気温は37.2℃、路面温度は58.0℃という超高温下での開催となった。高温になればなるほど、あらゆるモノの耐久性が失われていく。果たしてタイヤは最後まで問題なく走ることができるのか? そして、モテギでハードワークとなるブレーキは大丈夫なのか? それが逆に面白いレース展開を生み出すチャンスなのかもしれない。
スタートドライバーは予定通り、新田守男選手が担当。ベテランらしい冷静な判断によるスタートダッシュに期待したいところだったが、後方グリッドということもあり、フォーメーションが乱れ気味で、順位をひとつ上げるに留まった。
新田守男選手はタイヤのタレを気にしながら、ペースをコントロール。それでも8周目に同じダンロップタイヤを使う#10GT-Rをオーバーテイクして20位、11周目には19位、そして19周目に18位へとポジションアップ。
そして20周目、最も速いタイミングでピットへ向い、ドライバー交代と燃料補給、そしてタイヤ交換を行った。コース上での順位は25位にまでドロップしたが、そこから平良響選手の追い上げが始まった。
23周目にスタート時と同じ22位まで戻すと、ピット作業へと入るマシンもあり、1周ごとにポジションを上げていく。25周目にはライバル#55NSXをオーバーテイクして19位。 そして28周目には14位までポジションを上げ、入賞圏内となる10位のマシンとのギャップは約10秒。残り30周が予想されているだけに、まだまだ入賞の可能性は残されていた。
32周目には13位へと上がったものの、10位とのタイムギャップは約10秒で縮めることができない。そして37周目に12位。いよいよ入賞が現実になるかと思えた。
しかしすでにタイヤは苦しい状況になっており、少しずつラップタイムが低下。50周を過ぎた頃には周囲のマシンよりも1秒以上遅いタイムとなってしまっていた。
結局、平良響選手は58周のチェッカーまで苦闘を続け、最終的には13位という結果となった。残念ながら入賞することはできなかったものの、暑いコンディションの中でのレースを走り抜くことができ、今後のレースへ活かせるデータを手にすることができた。
次戦は、5月開催から延期された第3戦鈴鹿。8月21日(土)〜22日(日)に開催される。K-tunes Racingにとっては2018年、2019年と2連勝を果たした得意なコースだけに、素晴らしい結果に期待が高まる。
コメント
影山正彦 チーム監督
「レースペースがもう少し良くならないと、いい結果に結びつけるのは難しかったですね。そのためには何を改善しなければいけないのか? そのあたりを精査して、次の鈴鹿に向けて準備していきたいと思います」
新田守男 選手
「思っていたよりもタイヤの性能低下が少なくて、いくつポジションを上げることができました。ただ路面温度が高過ぎたので、タイヤがブローしないように走っていました。もう少し全体のペースを上げたいですね」
平良響 選手
「スタートから9個ポジションを上げて13位、というのは成果だったと思います。やはり予選での一発の速さが重要だと思いました。次のレースは得意の鈴鹿なので、しっかりと優勝を目指して、準備していこうと思います」