2021.9.11-12 スポーツランドSUGOレース終盤の小高一斗選手の激しい追いあげで
開幕戦以来、今シーズン2度目の入賞となる8位
今シーズンのSUPER GTシリーズも後半戦。その第5戦が、宮城県のスポーツランドSUGOで開催された。K-tunes Racingは、前戦鈴鹿に引き続き、新田守男選手と小高一斗選手のドライバーラインナップで臨むことになった。
開幕前の公式テストから阪口晴南選手の代役としてステアリングを握ってきた平良響選手だが、鈴鹿直前に新型コロナウィルスに感染し発症。その後治癒したものの、まだ体調が万全ではなく、再び小高一斗選手を起用することになった。
スポーツランドSUGOのコースレイアウトは、ツイスティなハンドリングコース。それはLEXUS RC F GT3にとってマッチした特性だ。前戦終了時に新田守男選手は「マシンにとっては向いているコースなんだけど、結果が出せていないというか、いい記憶がないよね」という。
実際、SUPER GTに参戦を始めた2018年は予選Q1が12位で突破できず、決勝レースも14位。翌2019年は予選Q1が9位で惜しくも突破ならず、しかし決勝レースは雨で混乱し、阪口晴南選手の強烈な追いあげを実現、幸運な3位表彰台に立った。
雨頼み、アクシデント頼みのレースをしていても意味はない。オーバーテイクの難しいコースだけに予選ポジションが重要になるのだが、その予選一発の速さが出せていないのが、SUGOの課題ともいえた。
9月に入ったとはいえ、思いも寄らない気温低下。完全に秋を感じさせるほどの肌寒ささえ感じた土曜日の朝。それがタイヤにマッチしたのか、予選直前の公式練習では6番手のタイムをマークした。周りに並んだライバルたちはランク上位のマシンが多く、サクセスウエイトも少なくない。
そして予選Q1、小高一斗選手はウォームアップでの良い感触を手に1分18秒389をマーク、見事トップタイムでQ2進出を果たした。他チームで昨シーズン2度のポールポジションを獲得した小高一斗選手の速さが証明された。
しかし予選Q2では日差しが強くなり、路面温度が上昇。コンディションの変化にマシンのセッティングを修正し、新田守男選手がアタックに向かった。そのわずかな温度変化でがタイムに影響し、結果として8番手に留まった。ポールポジションを獲得したのは、同じようなハンドリング志向の#61BRZだったが、タイム差は1秒近くにもなっていた。
トップに立つのは難しい。それでも8番グリッドからのスタートには、期待を持つには十分な結果だった。「明日の決勝レースは、天気がちょっと読めないんだけど、良いイメージで臨めそう」というのが新田守男選手のコメントだった。
決勝レースの日曜日、午前中からサーキットは秋晴れの強い日差しに照らされていた。前日よりも温度ははるかに高くなり、路面温度は20℃近くも上昇。タイヤのパフォーマンスに大きく影響することになるのだが、残念なことにSUGOでのその温度でのデータはない。
さらにスタート直前、やや日が陰り、気温も路面温度も低下し始めた。決勝レース直前のウォームアップで確認したデータを、さらに補正しなければならない。
SUGOのコースは1周が3.586mと短く、周回数は84周と多い。GT300クラスでも80周程度となる。ドライバーの最小周回数は25だが、LEXUS RC F GT3はフルタンクでも50周前後しか周回できない。つまり逆算すると30周は走る必要がある。
スタートドライバーは新田守男選手だったが、スタート直後からペースが上がらず、少しずつポジションを落としていってしまう。オープニングラップで9位、10周目にGT500に譲った時に隙を突かれて10位へ。
そこからは後続のマシンを何とか抑えてポジションをキープする走りになってしまう。タイヤのグリップダウンも進んでしまい、ラップタイムは1分23秒台と、レース序盤からすでに2秒近く遅くなっていた。そして23周目、一気に3台のマシンに先行を許し、13位へ。ラップタイムもさらに低下してしまっていた。
ベテラン新田守男選手は、それでも何とかマシンを走らせ、13位のまま、27周目にピットイン。他のチームよりも早めのタイミング。ドライバー交代とタイヤ交換、そして燃料補給を行った。
小高一斗選手は残り50周前後の距離を、与えられた燃料とタイヤで、最後まで走り切らなければならない。燃料はギリギリだが、もしセーフティカーやFCYとなれば燃料は温存できる。タイヤは新田守男選手の予選で使用したソフトから、新品のハードへと交換され、ラップタイムは劣るものの耐久性は高い。いかにタイヤを労り、グリップダウンを抑えて、レース終盤まで速さを維持できるか? それが結果を大きく左右することになる。
ピット作業のタイムロスで24位にまでポジションを落とした。ロスタイムはほぼ1周分だった。30周を過ぎるあたりから、ピット作業を行うマシンが増えていき、自動的にポジションは回復していった。
そして42周目、GT500のマシンが最終コーナー立ち上がりで出火し、セーフティカーとなった。これで燃料は問題なくなった。この時点で16位ではあったが、上位4台がピット作業を終えていなかった。ほぼ1周近く存在したトップとの差がほとんど無くなった!!それだけでなく、セーフティカーが入った位置は96号車の直後だったため、17位のマシンとは1周の差が生れることになった!!
こんなラッキーなレース展開が、いい結果につながらないハズはない。
51周目に再スタートとなると、すぐに残り4台のマシンがピット作業を行い、小高一斗選手は52周目に14位、54周目に12位、そして55周目には11位へと順位を上げていく。あと一歩で入賞圏内だ。
しかしその一歩が遠い。ペースはそれほど悪くはないが、徐々に前のマシンに引き離されていった。
だがチャンスは再びやってきた。7位争いの列に追いつくことができたのだ。必死にブロックするマシンはラップタイムが大幅に悪く、オーバーテイクできないとマシンの列ができてしまう。そこに小高一斗選手は追いついたのだ。
そして70周目、ついに10位へとポジションアップ。さらに77周目には9位、そしてファイナルラップで8位へとポジションを上げて、チェッカーフラッグを受けた。その最後のバトルシーンでは接触もあったものの、特にペナルティなどはなかった。
K-tunes Racingは開幕戦以来、今シーズン2度目の入賞を実現させた。
コメント
影山正彦 チーム監督
「開幕戦以来の入賞、ポイントをゲットすることができました。このところ苦しいレースが続いていたので、とりあえず良かったかなと思います。ただこの結果に満足することなく、次のレースに向けて、しっかりと取り組みたいと思います」
新田守男 選手
「スタート直後はタイヤが温まり切らず、20周を過ぎてからはラップタイムが厳しくなってしまいました。タイヤを確認したら、本当にギリギリの状態で、むしろコース上で壊れなくて、ラッキーだったかもしれませんね」
小高一斗 選手
「終盤、周囲のマシンも、みんなタイヤが厳しい状況の中で、順位を上げることができなくても、何か仕掛けようと思っていました。それが8位という結果につながりました。接触については、今後の反省材料ですね」