2021.11.27-28 富士スピードウェイ最終戦は追いあげを想定したハードタイヤ
しかしレースラップが悪く19位に終わる
シーズンの終わりを告げる最終戦が、11月27日(土)〜28日(日)静岡県富士スピードウェイで開催された。例年であれば、富士スピードウェイでの開催は、5月のゴールデンウィークと夏休みである8月、という最もレジャーが活発な時期に設定されてきた。しかし今シーズンは東京オリンピックイヤーであり、富士スピードウェイは競技会場として使用されたために6月以降に閉鎖され、10月まで使用できなかった。そのため最終戦として、寒い初冬の富士スピードウェイで開催されることになったのだ。
LEXUS RC F GT3にとって、富士スピードウェイは得意なコースではない。K-tunes Racingが初参戦となった2018年以降、富士スピードウェイでの開催はこれまで9回。そのうち10位以内は1度、2018年第5戦に10位になった時だけ。しかも、この時もトップから2周遅れだった。それ以外に入賞はなく、20位以下は2020年に3度記録してしまっている。
そんな苦手なコースでも、レースにはさまざまな可能性がある。もちろんチームが積み上げてきたダンロップタイヤのノウハウやデータによって、パフォーマンスは着実に向上している。K-tunes Racingにとって、10回目の富士スピードウェイは今の力を計る試金石でもあった。
しかしチームが思い出していたのは昨年の最終戦、同じ時期に開催された富士スピードウェイでの惨状だった。
予選を意識したソフトタイヤを選択し、当然予選結果はQ1で新田守男選手が3位、Q2でも阪口晴南選手が4位と、その攻めたタイヤ選択の成果は出せた。しかし決勝レースでは、そのソフトタイヤの性能低下が早く、スタートドライバーの新田守男選手はわずか5周ほどで大幅なラップタイムの低下を招き、周囲のマシンよりも1周3秒近く遅いタイムで、何とかドライバー交代までマシンを走らせた。交代した阪口晴南選手も10周ほどでラップタイムが大幅に低下。そこでチームはマシンをピットへと呼び戻し、2度目のタイヤ交換を行うこと追い込まれた。当然、1回多くピット作業を行ったことでタイムロスが大きく、3周遅れの22位となった。
同じ状況は避けたい。そのためチームは耐久性の高いハードタイヤを選択し、今回のレースを戦うことを決めた。
公式予選、Q1は阪口晴南選手が担当。温まりにくいハードタイヤだけに、コースインから4周を費やしてウォームアップをし、タイムアタック。しかし0.2秒届かず、10位に終わった。だが、これは想定の範囲内でもあった。
翌日の決勝レース、スタートドライバーは新田守男選手が担当、19位からポジションアップを目指した。スタート直後からレースは荒れた展開を見せ、コースアウトするマシン、多重クラッシュなど、アクシデントが続き、セーフティカーが入ったことでトップとの差がゼロになった。今回は最小周回でのドライバー交代よりも、少し長いタイミングを想定していたが、セーフティカーだけでなく、FCYも入ったことでタイヤの負担は小さく、9位にまでポジションを上げて24周目にドライバー交代。
しかしここでピット作業でミスが出て、約10秒ほどタイムロス。そのためコースに戻ると24位にまでポジションを落としてしまった。
ニュータイヤへで走り出した阪口晴南選手は、懸命に前のマシンを追いかけたものの、レースペースが悪く、オーバーテイクショーを演じることはできそうになかった。上位のマシンがリタイヤしたり、トラブルで大幅に遅れることになったため、最終的には19位でチェッカーを受けた。これはスタート順位と同じ、という結果だった。
2021年シーズンが終わった。K-tunes Racingにとって4年目のシーズンは、2位表彰台1回を含む、3度の入賞を果たし、ドライバーランキングは新田守男選手が12位という結果になった。レギュラードライバーである阪口晴南選手が前半戦、GT500クラスの37号車へレンタルされてしまったため、代役として平良響選手、小高一斗選手が新田守男選手のパートナーとして、レースを戦った。スキルの高い将来が期待される2人の若手トライバーは、それぞれの才能と個性を発揮してくれた。
ただ第6戦以降、チームに復帰した阪口晴南選手はやはり大きな力だった。チーム加入3年目ということもあるのだろうが、いきなりのGT500クラスでも活躍し、スーパーフォーミュラでも上位を争っているドライバーは、チームに活気をもたらしたことは間違いない。2位表彰台は復帰戦だった。
影山正彦チーム監督はシーズンを振り返り、「まずはファンの皆さんに、感謝したいですね。今シーズンも応援ありがとうございました。去年から厳しい結果が続いていますが、やっと2位表彰台という結果を出すことができたので、チームとしては一歩前進したと思いますが、まだまだ課題も多いですね。そのあたりをひとつずつ克服して、チームを一歩ずつ進化させていきたいですね」と語ってくれた。
コメント
影山正彦 チーム監督
「今日はピット作業でミスが出てしまったり、決勝のペースも悪く、苦しいレースでした。望んでいたペースで走ることができず、トップから2秒近く遅いと、レースにならないですね。ミスは誰にでもあることで、そこから学ぶこともK-tunes Racingの重要な活動のひとつなので、今後に活かして欲しいですね。それがチームの進化にもつながっていくと思います」
新田守男 選手
「パフォーマンスが物足りないレースでしたね。決勝を見通したチームの戦略でしたが、レースのペースが悪くて、想定したような結果にはつながらなかったですね。いろいろな問題点は見えてきているので、来シーズンはチャンピオン争いができるように、もう一度チームを見直して、ひとつひとつ対策していきたいと思います」
阪口晴南 選手
「去年の2ストップの反省もあって、耐久性を重視してハードタイヤ選択をしたわけなんですけど、そもそも速さが足りなくて、厳しいレースでした。上位は冬ということで、気温が低いことでエンジンパワーがしっかりと出ていて、圧倒的に速いペースでしたから、ボクたちとの差は大きかったですね」