2021.3.27-28 公式テスト新しいカラーリングをお披露目
シーズンに向けテストの成果か?
2021年シーズンのSUPER GT、2回目の公式テストが3月27日(土)~28日(日)、静岡県・富士スピードウェイで行われた。岡山国際サーキットでの1回目から3週間、開幕戦に向けての最後のテストとなる。その開幕戦までは、わずか2週間しかない。各チームは実戦的なプログラムで走行テストに望む。
K-tunes Racingにとっては、前回の岡山公式テストで確認したタイヤのスペックをさらに詳細に検証し、とくにレースを見据えた長い走行距離での性能を確認することが重要なテーマとなった。また富士スピードウェイは5月の第2戦、11月の最終戦と、唯一2レースが開催されるサーキットであり、データを積み上げることは重要だった。
富士スピードウェイはアベレージスピードの高いコースであり、岡山国際サーキットのようなテクニカルコースとは走行状態が異なる。岡山公式テストとは異なるコースで、どのようなタイヤチェックの結果が出るのか、注目された。
岡山公式テストに続いて、今回もまた阪口晴南選手はGT500クラスの#37Keeper TOM'Sのステアリングを握ることになり、K-tunes RacingのLEXUS RC F GT3は新田守男選手と平良響選手が走らせることになった。
ひとつの懸念材料は、テスト2日目の天気予報が雨になっていること。雨というコンディションは、その降雨状況の変化にともなってコースも刻々と変化してしまう。条件が一定に保てないと正確な検証をすることはできず、データを作ることができない。もちろん雨に対応するための基本的なセットアップは必要ではあるが……。
天気予報を考慮すると、今回の富士公式テストは1日目に集中するしかないのだ。さらに2日目の走行時間を1時間短縮し、その分を1日目に振り分けるというスケジュール変更も実施された。
タイヤのチェックをしていくのは新田守男選手。岡山公式テストのデータを基に、絞り込まれたタイヤをひとつずつチェックしていく。
ニューマシンのコンディションは優れているようで、長い富士スピードウェイのストレートでの計測されたスピードは275km/hを超え、GT300クラスのトップレベル。昨年までは苦手としていた富士スピードウェイで、今シーズンは好成績が期待できるかもしれない。
今回のテストから、マシンは21シーズン用のカラーリングとなった。ホワイト、グレー、ブラックの基本カラーは受け継いだが、昨年のブロックパターンからグラデーションへとデザイン処理が変更されたのが特徴だ。
トラブルはいつも突然発生する。最終コーナーを立ち上がり加速し始めたRC F GT3はスローダウン。ピットロード入り口を通過してしまっていたため、新田守男選手はゆっくりと1周することになった。原因は左フロントタイヤのバースト。タイヤ自体は交換してしまえば済むが、タイヤが飛び散った影響で左側のフロントフェンダーが破損するなど、マシンにダメージが及んでしまった。その交換作業とメカニズムのダメージチェックに、およそ1時間が費やされた。レースではできるだけ早急に応急処置を済ませ、マシンをコースに送り出すが、テストではデータの精度を高めるためにもマシンは完璧な状態でなければ走らせる意味がない。
結果的に、そのタイムロスによって、当初予定していたテストプログラムは不完全な状態で終わってしまうことになった。天気予報通り、2日目は未明からの雨が降ってしまい、ウエットコンディションとなってしまったからだ。
幸いなことに、それほど雨量は多くなく、走行には大きな障害とならない。そのためチームは2日目を平良響選手にステアリングを託し、マシンとレースの習熟をメインテーマとすることになった。結果として新田守男選手は2日目にドライブすることはなく、シートには常に平良響選手が収まった。
ただ雨は上がり、午前中はほぼドライに近いコンディションへと変化していく。それはマシンの性能をフルに使って走らせることができ、平良響選手にとってはマイレージを稼ぐことができるラッキーな展開だった。
午後のセッションはわずか1時間だけだったが、その前のインターバルで再び降雨。しかしその雨もセッション開始時には完全に上がっていて、再び路面はドライコンディションを取り戻した。何度もタイヤ交換しながらの走行となったが、平良響選手は全体のベストタイムを叩き出す。最後の最後で昨年のチャンピオンである#56J.P.オリベイラ選手に逆転されたものの、2日目全体で2位のタイムを記録した。
公式テストでは、タイムはそれほど重要ではない。それぞれのチームがプログラムを組み、さまざまな目的のために走行している。全てのマシンがタイムアタックをしているわけではないのだ。
とはいえルーキーが2番手タイムをマークしたことは、平良響選手の新しいカテゴリーのマシンへの対応能力の高さの証明といっていいだろう。また多くの周回数を走ったことで、タイヤの性能変化などのフィーリングも確認することができたに違いない。
影山正彦チーム監督は「雨も降りましたけど、全体的にいいテストになったと思います。まだまだ進化していく必要がありますが、チームもタイヤも、これから進むべき方向性は見えてきたかなと思います。開幕戦からトップ争いというのは難しいかもしれませんが、シーズン中盤にはそういう状況になるように、進んでいきたいと思います」とコメントしてくれた。
開幕戦まではわずか2週間、地元開催というプレッシャーを感じながら、チームはいよいよレースに向けて動き出す。