K-TUNES RACING

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2024.4.13-14 岡山国際サーキットやはり混迷の先読みできない開幕戦
2人のベテランの妙技で6位入賞

Highlights of this race
〇昨年と変わらず予選での速さは健在だった
〇タイヤの耐久性を重視した新田守男選手の走り
〇難敵を見事に制した高木真一選手の追いあげ

SUPER GTの2024シーズンの開幕戦は、例年通り岡山国際サーキットでの開催となった。いうまでもなくK-tunes Racingにとっては、地元・ホームコースである。多くの地元ファンにアピールできる絶好のステージだ。同じようなディーラーチームでも地元開催されないチームからは、とても羨ましがられている。
レースウィークは4月とは思えないような暖かい気温となった。気温によって性能が大きく左右するタイヤは、多くのチームでもう少し低温となることを想定していたハズ。K-tunes Racingもまた、想定を外していたのでライバルに対してアドバンテージはない。だが、混乱すれば混乱するほど2人のベテランドライバーの高い経験値が生きてくるハズだ。

今シーズン、レギュレーションの大きな変更点は、予選方式だ。これまではQ1を各組上位8台となったチームがQ2進出となったが、今シーズンは全車がQ2を走ることになった。それに伴ってタイヤの運用が変化し、Q1とQ2の間でタイヤ交換が不可となった。これまではQ1かQ2を走ったタイヤでレースをスタートしたが、今シーズンからはQ1とQ2の予選2回を走ったタイヤでスタートすることになった。その予選1回分の負担がプラスされたことによって、タイヤの性能低下がどのような形で現れるのか??
だが、それを知るために重要な2度の公式テストが、いずれも雨の影響で十分な内容とはなっておらず、果たして2024年用に開発された高耐久向けのタイヤが、どのようなパフォーマンスを見せ、ラップタイムをどのくらいの周回数まで維持してくれるのか、未知数だった。手さぐりの状態で開幕戦へ持ち込むタイヤのスペックを決めているのだ。

その公式予選、Q1は新田守男選手が担当し、B組4位を獲得。Q2は各組上位8台が進出するグループ1へ。Q2では高木真一選手が3番手タイムを記録。Q1とQ2の合計タイムでは4番手となり、予選4位が確定しました。ポールポジションは#65AMG GT3で、同じダンロップユーザーで速さを争ってきた#61BRZが予選3位。
果たしてライバルたちはどのような戦略を手に、決勝レースを戦おうとしているのか?? それは当然予選にも影響したはずだが、予選結果の影に隠れたライバルたちの動向まで予想がつかない。
ただ300kmの今回のレース、戦略的に選べるプランが少ない。K-tunes Racingはいつものように王道である「スタートからいわゆるミニマム=最少周回数をクリアしてドライバー交代+タイヤ交換」というプランであり、多くのチームがそう選択するのではないかと思われた。
決勝レースは82周。じつはミニマムというレギュレーションはなく、逆に1人のドライバーの最大周回数が3分の2以下に規定されている。つまり55周だと3分の2を超えてしまうので、54周が最大となる。引き算すればミニマム(1人のドライバーの最少周回数)は28周となる。だが82周というのはGT500の周回数であり、GT300ではもっと少ない。要するに後半を担当するドライバーが54周に収まればOK。ちなみに今回のレースで、K-tunes Racing RC F GT3は76周だったので、結果からみればミニマムは21周だった。

スタートドライバーは新田守男選手。4位でスタートしたものの、オープニングラップで6位へ順位を落としてしまう。何かトラブルでも発生したのか?? しかしペースが良くなかった理由は、新田守男選手がタイヤをセーブするためにペースをコントロールしていたためだった。
「とにかく順位ではなく、タイヤを持たせることを優先させた」と新田守男選手がレース後に言うように、オーバーテイクを許してもそれに捕らわれることなく、自らのペースをきっちりとキープしたのだ。当然ポジションはダウンしてしまうが、それでもドライバー交代までタイヤが持たず、ガクッとラップタイムが落ちてしまうよりはいい。そういう判断なのである。
レースは1周目が終わる直前に、コースアウトしたマシンの回収のためにセーフティカーに。再スタートが切られるのは7周目となったのだが、新田守男選手はその直前のタイヤのフォームアップも最少限というか、ほとんどしていなかった。タイヤへ負担をかけず、持たせるためだった。
その影響もあるのだろう。再スタートしてからも新田守男選手のペースは悪く、上手くブロックしたことで6位のポジションはキープしたものの、1秒近く5位#7 BMWに引き離されていく。
だがマシンのタイヤが十分な温度に達したのか、12周目あたりからその差は広がらなくなり、14周目からは逆に差が縮まっていった。これには激しい4位争いによって前方のペースが落ちていたこともプラスとなった。
24周目にはミニマムで入るマシンが出始めたが、これは残り周回数を走り切る燃費が求められる。重量級のFIA-GT3マシンでは厳しく、軽量なGTA-GT300マシンだからこそ可能なタイミングだった。
新田守男選手がピットに向かったのは27周目。高木真一選手が乗り込み、ニュータイヤと満載された燃料とともに、コースへ20位で復帰した。

そこからは追いあげて順位を取り戻すのが、いつものパターン。ドライバー交代のタイミングが遅いマシンをクリアするために、ハイペースでポジションを上げていきたいところだ。しかし今回は少し様相が違った。
コースを復帰した高木真一選手の前を走るのは、#5トヨタ86MC。いち早くピットに向かい、しかもタイムロスを嫌ってタイヤ無交換とした。ドライバー交代前は11位を走行していたのだが、タイヤ無交換によって96号車の前に出られてしまったのだ。ドライバーはチャンピオン経験もある藤波清斗選手で、いうまでもなくレベルは高い。そして、この#5をオーバーテイクできずに苦しむことになる。
ドライバー交代するマシンがピットインすることによって、高木真一選手のポジションは少しずつ上がっていく。しかし前を走る#5トヨタ86MCに抑えられて本来のペースで走れないのだが、オーバーテイクも難しい。そのロスが最後にリザルトとなって跳ね返って来ることは間違いない。
だがタイヤを使いすぎると終盤でラップタイムを大きく落すことになり、好結果にはつなげられない。高木真一選手もまた、タイヤを最後まで持たせることを前提に、レースを戦った。ラップタイムとタイヤの耐久性、そのバランスを絶妙に保つのに、ベテランドライバーの経験が大きく貢献するに違いない。

全てのマシンがドライバー交代を終えたのは50周目。高木真一選手は7位となり、#5トヨタ86MCと#87ランボルギーニに挟まれ、バトルを展開していた。そして何度か並び掛けるチャレンジを見せた後、58周目についにオーバーテイクに成功。じつに30周もの間、抑えられ続けたことになる。 59周目には#61BRZが、全く同じようにオーバーテイクを仕掛けたが接触して#5トヨタ86MCがスピン。これによってFCYとなった。
 61周目にFCYが解除されると高木真一選手は前を走る#31LC500hをターゲットに。その31号車もまたタイヤ無交換で順位を上げたマシンで、当然終盤のタイヤが厳しいことは明白だった。だが96号車もまた、5号車との激しいバトルを長時間続けていた。タイヤの負担は小さいはずはない。
66周目に2.2秒まで差を縮めたものの、そこから先でギャップを詰めるのは難しかった。高木真一選手は6位でチェッカーフラッグを受け、地元での開幕戦を入賞という結果を残すことになった。

コメント

  • 影山正彦チーム監督
    影山正彦 チーム監督

    「開幕戦として6位入賞は、まずまず良い結果だったと思います。とくにタイヤが心配だったわけですが、ドライバーが上手く使うことで持たせてくれたのが、結果として入賞ということにつながりました。今日のコンディションでは上手く機能してくれた、ということですね。今後当然暑くなっていくわけで、それに対する対策をしていきたいですね」

  • 新田守男選手
    新田守男 選手

    「今回は路面温度が想定していたよりも高かったので、これまでテストしてきた環境と全然違うのでタイヤがどうなるのか?? 全然読めないので順位を諦めて、タイヤを温存させて走りました。ベストタイムを出すタイミングを遅らせたことで、結果としてタイヤを最後まで持たせることができた。ただ攻められなかったのが、ドライバーとしては少し不満ですね」

  • 高木真一選手
    高木真一 選手

    「ドライバー交代してコースに戻ると、タイヤ無交換のマシンが走っていて、それを抜くのに結構手こずってしまったんです。タイヤのパフォーマンスが高いのは判っていたので、大事にタイヤを使うことで残りの50周を大きく性能低下させることなく、走らせることができました。それが結局6位という結果につなげることになり、地元で入賞できて良かったです」

リザルト2024 AUTOBACS SUPER GT Round.1 OKAYAMA 300km

04/14 決勝レース 岡山国際サーキット 天候:晴れ 路面:ドライ

Pos. Car No. Machine Driver Laps Time / Gap Best Lap Tire SW
1 2 muta Racing GR86 GT
TOYOTA GR86
堤 優威/平良 響
77 2:03'34.434 1'28.154 BS --
2 65 LEON PYRAMID AMG
Mercedes AMG GT3
蒲生尚弥/篠原拓朗
77 4.895 1'28.106 BS --
3 7 Studie BMW M4
BMW M4 GT3
荒 聖治/N.クルッテン
77 20.628 1'28.456 MI --
4 52 Green Brave GR Supra GT
TOYOTA GR Supra
吉田広樹/野中誠太
77 24.898 1'28.623 BS --
5 31 apr LC500h GT
LEXUS LC500h
小高一斗/中村 仁
76 1 Lap 1'28.901 BS --
6 96 K-tunes RC F GT3
LEXUS RC F GT3
新田守男/高木真一
76 1 Lap 1'28.523 DL --

ファステストラップ 1'28.018 #61 山内英輝
※タイヤ BS=ブリヂストン DL=ダンロップ MI=ミシュラン YH=ヨコハマ

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