K-TUNES RACING

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2024.5.3-4 富士スピードウェイペースも良く表彰台さえ狙えたレース
しかしタイヤトラブルで17位に沈む

〇レースペースはトップグループに匹敵する速さ
〇タイヤのマネージメントも上手く進められた
〇痛恨のバーストによって大幅タイムロス

開幕戦で幸先の良い6位入賞を果たしたK-tunes Racingは、その勢いを第2戦富士へと持ち込んでいた。公式予選を前にした公式練習で、ベストタイムは11位でしかなかったが、レースを想定したシミュレーションではライバルたちに十分に対抗できる速さを見せていたのだ。
新しいレギュレーションが投入されると、レースのさまざまな部分が変化する。今シーズンから採用された新しい予選システムは、タイヤに高い耐久性を求められる。しかもサーキットへ持ち込めるタイヤのセット数が、300kmレースの場合には4へと減ったことで、事実上ひとつのスペックしか持ち込めないということになった。2つのスペックを持ち込んでも公式練習で走行チェックしてしまうと、予選と決勝で2セットしか残らないことになり、当日のコンディションにマッチしないタイヤも使わざるを得ないことになる。
しかも事前の公式テストは雨にたたられたことで十分なデータが得られていない。開幕戦はそうした混乱した状況であり、速さを追求するという状況にはなかった。手さぐりでタイヤの耐久性を維持するしかなかったのだ。
だが1レースを終え、データを得ることができた。タイヤメーカーによるテストも実施され、今シーズンを戦うタイヤのデータは少しずつ、着実に積み上がった。不確定な要素は減少し、各チームの競争力がより表面に出てくることになる。
第2戦富士は、これまた今シーズンから新たに設定された3時間レースというフォーマット。昨年までの450kmレースよりも10%以上長くなる想定だが、だがレーススタートから3時間で自動的に終了となり、赤旗中断やセーフティカーなどが入ると最終的な周回数は少なくなる。
300kmレースに対して1.5倍以上の走行距離となることもあり、持ち込めるタイヤは6セットに設定された。これによって2つのスペックのタイヤを持ち込めることになり、戦略的な幅は広がった。

公式予選、Q1は新田守男選手がB組3位を獲得。難なくQ2で上位となるグループ1へと進むことになった。Q2では高木真一選手が4位に食い込んだ。開幕戦では「抑え気味に」「タイヤを使い過ぎないように」と新田守男選手からコメントがあったが、今回は「別に抑えてないよ」ということで、予選として速さを追求した走りだったようだ。
予選総合結果はQ1とQ2の合算となるため、最終的に7位となった。
この結果に違和感がある人もいることだろう。Q1が3位、Q2が4位なのに、どうして7位となるのか?? 今回の予選はQ1がB組、A組の順で行われた。実施する順番で路面コンディションが変化するため、A組とB組で有利・不利が発生する。通常であれば先に実施されたほうが不利になる。今回はB組が先だったのでタイムが振るわず、単純に合算するとQ1がA組のマシンのほうが上位となる計算となった。

ちなみにQ1 A組で3位となったのは#2 GR86GTだったが、96号車よりも0秒4速く、96号車の合算タイムから0秒4を引くと予選総合4位相当という、納得しやすい結果となる。
この予選システムは今シーズン投入されたばかりで、まだまだ進化が必要なようで、GTAとしても随時改良していくことがアナウンスされている。実際に第2戦で修正されたのは、グループ1の下位4台とグループ2の上位4台を並べ替える、いわゆる下克上と呼ばれるシステム。開幕戦ではQ1とQ2の合算タイムで並べ替えたのだが、第2戦ではQ2のタイム単独で並べ替える方式へと変更された。これによって、GT300クラスの最後の予選となるQ2 グループ1を見る時に、下克上が発生するかどうかは判りやすくなってはいる。
これは場内実況などでも開幕戦のルールがそのまま適用された前提で行われており、勘違いが生れやすくなっていた。今後も予選システムに関するレギュレーションの修正は続く可能性があり、十分に注意してもらいたい。

決勝レースが行われる5月4日。通常は日曜日に行われるのだが、ゴールデンウィークの富士だけは5月4日に固定されている特別なレースだ。
公式予選が行われた前日も5月上旬としては暖かい気温だったが、この日はさらに日差しが強まり、初夏を思わせるような天候となった。路面温度は40℃を超え、これは想定していた温度を大きく超えてしまい、タイヤの耐久性に大きく影響することが予想された。それはK-tunes Racingだけの問題ではなく、おそらくほとんどのチームが同様の状況となっていたことだろう。
スタートドライバーは高木真一選手で、新田守男選手に交代し、最後に再び高木真一選手へと交代する戦略となった。1回目のドライバー交代までスタートタイヤを使用しなければならないのだが、そのタイミングを早くしすぎると後半で燃料が厳しくなってしまう。入賞するためにもピット作業は2回で済ませたいので、そのためには最初のドライバー交代はある程度周回しておく必要がある。
オープニングラップで6位へ上がると、そのポジションをキープしてレースが進んでいく。レースは激しいバトルシーンは見られず、全体的に大人しい印象。やはり長いレースということもあり、序盤は慎重になっているように見えた。もちろん2本の予選を走ったタイヤであることも、その一因ではあるだろう。
15周目を過ぎたあたりからペースは落ち始めた。21周目には永遠のライバル#61 BRZにオーバーテイクを許して7位に。「想定していたよりも5周くらい早いタイミングで、タイヤが厳しくなってきた」という高木真一選手は、さらに24周目にチャンピオンチームである#52 GRスープラにも先行を許して8位に。ラップタイムは周囲のライバルたちよりも2秒前後も遅くなってしまった。

25周目、予定よりも早めにピットへ。ニュータイヤと燃料が与えられたマシンに新田守男選手が乗り込み、コースへ復帰。ほとんどのマシンがピット作業に入っていなかったため、23位とかなり後方のポジションへ落としてしまった。新田守男選手は1時間以上の走行、おそらく40周程度の周回をしなければならないため、フルタンクでマシンが重い序盤でタイヤに負担をかけないように、やや抑え気味のペースで周回を始めた。
ライバルたちは少しずつピット作業に入っていく。37周目には半数くらいのマシンが最初のピット作業を終え、新田守男選手は16位へとポジションを戻していた。周回ペースは周囲のライバルたちよりも速く、トップグループと同等のタイムを刻んでいた。このペースが続くなら、上位入賞が実現しそうだ。
だが13位を走行していた44周目、左リヤタイヤがバースト! すぐにピットへとマシンを戻す。タイヤがバーストしてしまった場合、ホイールに残ったタイヤの破片がボディを叩いて破損する可能性があるので速度が上げられない。ゆっくりとしたペースでピットへと戻るしかないのだが、それがまたタイムロスにつながる。
緊急ピットインしてタイヤを交換し、コースへ復帰。余分なピット作業とスロー走行のロスタイムが重なり、ついに最下位の26位にまでポジションを落としてしまった。トップを快走していた#88ランボルギーニに対して、まだレースは半分というのに2周半もの大きな差がついてしまっていた。

3時間という長いレースだけに、各チームはさまざまな戦略を組み立てている。そのためピット作業のタイミングもさまざまだ。もちろんタイヤが厳しくなり、早めのピットタイミングとなったチームもあることだろう。
ただ今回レース、序盤に2分間だけFCYが出ただけで、セーフティカーも赤旗も出ることはなかった。タイミングの善し悪しで順位が影響を受けた、というケースはなく、つまり競争力がそのまま結果へとつながったといえるだろう。
そうなるとタイヤバーストというアクシデントに見舞われたK-tunes Racingは、大きな痛手となってしまった。ただ今回のタイヤバーストは、5台が参戦したダンロップユーザーのうち、#61 BRZ以外の4台で発生しており、チームとして対応可能だったとは思えないアクシデントといえるだろう。
高木真一選手へのドライバー交代は76周目。最後のニュータイヤと燃料補給を得て、残り45分のレースでラストスパートしていく。そのラップタイムは、上位陣を超えるほどのハイペースだった。24位というほぼ最下位のようなポジションから、82周目に#60 GRスープラをオーバーテイクして21位、98周目に#30 GR86をオーバーテイクして20位と、着実にポジションを上げていく。もちろんトップ10に食い込めるはずはないのだが、それでもレーシングドライバーとしてベストの走りを見せる。
残り3分、102周目に#360 GT-Rを、104周目に#20 GR86GTを、そしてファイナルラップの105周目に#5 TOYOTA86MCを、立て続けにオーバーテイクして、17位でチェッカーフラッグを受けた。ポジションは残念だったが、高木真一選手の無双状態が多くのファンに楽しんでもらえたのではないだろう。

コメント

  • 影山正彦チーム監督
    影山正彦 チーム監督

    「本当に悔しい結果になりましたね。結果論ですけど、あのバーストがなければ十分に入賞できるペースで走れていたし、実際同じようなところを走っていたライバルは入賞してますから。次は得意の鈴鹿サーキットですけど、それまでに何とか巻き返したいですね。今シーズン、良い部分もしっかり出てきているので、上手くかみ合えば結果が出ると思います」

  • 新田守男選手
    新田守男 選手

    「高木選手がスタートを担当して、いいペースを出せていたと思います。それでボクは違うスペックのタイヤに交換して走ったんですが、周回が長くなることが予想できたので、少しタイヤを守りながら走っていたんですが、ペースば悪くなかったと思います。でも左リヤがバーストしてしまい、勝負権がなくなってしまったのが残念でしたね」

  • 高木真一選手
    高木真一 選手

    「スタートを担当したんですが、路面温度が高過ぎて予想より早くタイヤが厳しくなってしまいました。その後新田選手へ交代して、そして最後チェッカーまでを担当したんですが、路面温度も下がり、ペースも良くてファイナルラップまでオーバーテイクを続けることができました。マシンのバランスも良くて入賞できるレースだっただけに、悔しいですね」

リザルト2024 AUTOBACS SUPER GT Rd.2 FUJI GT 3Hours

5/4 決勝レース 富士スピードウェイ 天候:晴れ 路面:ドライ

Pos. Car No. Machine Driver Laps Time / Gap Best Lap Tire SW
1 88 JLOC Lamborghini GT3
LAMBORGHINI HURACAN GT3 EVO2
小暮卓史/元嶋佑弥
108 3:02'17.680 1'38.009 YH 6
2 56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R
NISSAN GT-R NISMO GT3
佐々木大樹/J.P.デ・オリベイラ
108 17.702 1'37.804 YH 0
3 52 Green Brave GR Supra GT
TOYOTA GR Supra
吉田広樹/野中誠太
108 19.730 1'37.927 BS 16
4 4 グッドスマイル 初音ミク AMG
Mercedes AMG GT3
谷口信輝/片岡龍也
108 25.951 1'38.110 YH 4
5 31 apr LC500h GT
LEXUS LC500h
小高一斗/中村 仁/根本 悠生
107 1 Lap 1'38.620 BS 12
17 96 K-tunes RC F GT3
LEXUS RC F GT3
新田守男/高木真一
105 3 Lap 1'38.304 DL 10

ファステストラップ 1'37.526 #777 C.ファグ
※タイヤ BS=ブリヂストン DL=ダンロップ MI=ミシュラン YH=ヨコハマ

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