K-TUNES RACING

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2024.6.1-2 鈴鹿サーキット得意の鈴鹿で予選11位からスタートし
ハイペースなレースで9位入賞を果たす

〇予選で急に高速の伸びを欠き不本意な11位に
〇トップグループ同等のレースペースをキープ
〇本来の速さを発揮し追いあげたレース終盤の攻め

タイでの開催が2020年のコロナ禍によって消滅して以来、 SUPER GTのカレンダーは6月から7月がすっぽりと空いたものになっている。そのためシーズンを2つに分割するとすれば、前半は今回の第3戦まで、後半は8月開催の第4戦以降、ということになるだろう。
つまり今回の第3戦は、シーズン前半戦の締めくくりということになる。
今シーズンからの新しいレギュレーションによって、タイヤの環境が大きく変わることになった。タイヤはラップタイムを大きく左右する最大の要素でもあり、その影響はさまざまな面に表出すると想定された。
具体的には、3時間レースという500kmを超えることが考えられる長距離レースが設定され、それでいてレースウィークにサーキットに持ち込めるタイヤセットが1セット減少となった。300kmレースではドライ4セットとなり、予選から決勝で2セットを使用することを考えると、プラクティスやウォームアップ等で2セットしか使えず、これは現実的に考えると異なるスペックのタイヤを持ち込めず、1スペック4セットとするしかない。
そして予選方式の変更によって、予選Q1とQ2、そして決勝レースのスタートタイヤまで同じタイヤを使わなければならない。つまりタイヤには、より高い耐久性と、より幅広いコンディションへの対応が求められることになった。過酷な要望である。
果たしてシーズン序盤、SUPER GTは大きな混乱はなかった。予選方式の変更によって、ノックアウト方式が消滅したことによる減衰感はあるものの、レースはSUPER GTらしいもので、これからタイヤ開発を含めた全体の進化によって、さらにエキサイトなレースが展開されるに違いない。
ただ、全体として耐久レース寄りへとシフトしたことも、これまた事実だろう。

K-tunes Racingは開幕戦、第2戦ともに好調なシーズンインを見せた。第2戦はタイヤバーストというトラブルによってポジションを失ってしまったものの、レースペースは上位陣と変わらなかった。そうした勢いが、この第3戦鈴鹿でどう結実するのか?? 期待と注目が集まっていた。
得意としている鈴鹿サーキットでこそ、ここまでの好調の真価が問われる。単にライバルたちがロスしていただけ、という可能性もあるのだ。
今回のレースは第2戦に続いて3時間。そのため持ち込みタイヤセットは6セットへと緩和されたことで、チームは2つのスペックを選択することが可能となった。富士よりもはるかにタイヤへの負担が大きい鈴鹿だけに、タイヤの選定は重要になる。
そのタイヤ戦略も重要だ。例えばソフトとハードの2つのスペックを3セットずつ持ち込んだとする。公式練習で1セットずつを使用してチェックしたとすると、残りは2セットずつ。予選からスタート、そしてレース中の2回のタイヤ交換は、同じスペックのタイヤを使用できないわけだ。
タイヤの負担・磨耗に関しては路面温度が大きく影響することになるので、当日の天候もまた重要な要素となる。

午後の公式予選を前にした午前中の公式練習、#96LEXUS RC F GT3は5番手タイムをマークする。トップタイムは#61SUBARU BRZと約1秒のギャップがあったが、それでも感触の良さを新田守男選手、高木真一選手ともに口にした。#61SUBARU BRZもまた鈴鹿を得意としており、同じダンロップタイヤユーザーとして注目すべき存在である。
公式予選Q1のB組、新田守男選手が1分59秒765をマーク。タイムが伸びない。トップの#777アストンマーチンに対して約1秒9の大差を付けられたのはともかく、午前中のタイムよりも約0秒9も遅れてしまった。順位は6位だったのでQ2は上位となるグループ1へと進むことができたが、「どうもストレートが伸びない。走った感触はいいんだけど、タイムが出ない」と新田守男選手は不思議そうな顔をしていた。
高木真一選手は予選Q2、1分59秒671で9番手タイム。やはりタイムも似たようなレベルに収まってしまった。トップタイムは#61SUBARU BRZの山内英輝選手で、約1秒5の差となった。
Q1とQ2の合算となる予選結果は11位となった。得意の鈴鹿、午前中の好タイムということを考えると、少し残念な結果となった。決勝レースまでに巻き返すことができるのか??

この週末、予選は晴れだが決勝は朝から雨と伝えていた天気予報。現実は朝から雲が多く、日が差さずに気温も上がらなかったが、ついに決勝レースのスタートが迫るお昼前に雨が降り始めた。もし雨が降り続けウエットレースとなればレインタイヤでのスタートが可能となり、3時間を走り切るタイヤ戦略も完全な見直しとなる。11位からのスタートとなるK-tunes Racingにとっては、そうした混乱要素が大きくなるほうが上位入賞が近づくのか?? いや新しいパターンのレインを熟知していないことの不安要素が大きいのか??
だが実際にレースをスタートする頃には雨が上がり、路面も完全なドライへと。まるで天気に遊ばれたような格好だ。
スタートドライバーは高木真一選手。2度の予選で酷使されたタイヤで、彼らしい追いあげを見せていく。オーバーテイクを繰り返して7位となった25周目に、新田守男選手へとドライバー交代。いうまでもなくニュータイヤとフルタンクの燃料が与えられた。交換し取り外されたタイヤには、限界が近かった。

新田守男選手は最初の3周ほどペースを抑えていたが、すぐにトップグループと同等のラップタイムでレースを戦っていく。公式予選でのストレートの伸び不足の問題は、向かい風が原因だろうと一応の答えは出された。鈴鹿はストレート、バックストレートともにほぼ同じ向きであり、風向きも同じになる。向かい風が高速域での速度の伸びを邪魔したのだ。もっと空気抵抗の少ないボディが欲しいところだが、それは新型GT3マシンの登場を待たなければならない。
ストレートエンドの最高速度計測ポイントでは、LEXUS RC F GT3はクラストップのスピードを記録した。風向きが変わったことで、ライバルたちを制するトップスピードが可能になっていた。
レースは37周目にクラッシュによりストレートに散乱したパーツを回収するために、また46周目にはマシントラブルでコースサイドに停止してしまった#61SUBARU BRZを回収するために、2度のFCYが出たが、いずれも短時間だった。レースの進行がセーブされたのはその2回だけで、セーフティーカーや赤旗が出るようなシーンはなかった。

新田守男選手はペースがやや苦しくなってきた57周目、4位のポジションで高木真一選手へとドライバー交代。32周を走ったタイヤは「まだまだ走れそう」な感触だったと、新田守男選手はコメントしている。
12位でコース復帰した高木真一選手は、オーバーテイクでひとつずつポジションを上げていく。いつものラストスパートだ。65周目に9位にポジシションを上げたが、8位の#65AMG GTとは30秒以上の差。残り時間は簡単30分以上あるものの、その差を詰めるのは至難の技。78周目にはこの日のベストラップを記録するなど、全力で追いあげたものの届かず、9位という結果となった。
開幕戦に続き、今シーズン2度目の入賞。K-tunes Racingは入賞する力は十分に持っているといえるだろう。第2戦もタイヤバーストさえなければ入賞は確実だったことだろう。あとは上位に食い込む速さを磨くことが、必要だ。幸い、第4戦富士までに2ヶ月もの猶予が与えられる。

コメント

  • 影山正彦チーム監督
    影山正彦 チーム監督

    「決勝レースのペースでいえば、以前よりも良くなっているし、タイムが大きく落ち込むようなことは今回のレースでは起きませんでした。気温が想定していたほど上がらなかったことも、その一因だとは思います。ただピット作業でミスも出てしまいましたし、給油時間が長くなってしまうということもあり、今日のところは9位が精一杯だったのかなと思います」

  • 新田守男選手
    新田守男 選手

    「目標としていた入賞を果たすことは、まぁ、良かったとは思います。ただ今回はエンジンの調子が良くなくて、高い速度での伸びがあれば、もっといいパフォーマンスが出せたのかなと、思います。そういう意味ではちょっと残念ですね。あまり良い記憶がなかった長いレースですけど、今回はしっかりとポイントも取れたので、次回に活かしたいですね」

  • 高木真一選手
    高木真一 選手

    「今日のわれわれのポテンシャルとしては、8位から10位くらいはあったと思います。そういう意味では9位という結果は、自分たちの力を出せたということですね。GT3マシンでは難しい、タイヤ無交換作戦が可能なマシンには太刀打ちできませんでした。ただ2種類のタイヤをしっかりと走らせることができて、そのデータが今後のレースにつながると思います」

リザルト2024 AUTOBACS SUPER GT Rd.3 SUZUKA GT 3Hours

6/2 決勝レース 鈴鹿サーキット 天候:曇り 路面:ドライ

Pos. Car No. Machine Driver Laps Time / Gap Best Lap Tire SW
1 777 D'station Vantage GT3
Aston Martin Vantage GT3 EVO
藤井誠暢 /C.ファグ
85 3:00'58.681 2'00.290 DL 0
2 2 muta Racing GR86 GT
TOYOTA GR86
堤 優威/平良 響
85 38.030 2'01.318 BS 54
3 6 UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI
FERRARI 296 GT3
片山義章/R.メリ・ムンタン
85 45.886 2'00.835 YH 2
4 31 apr LC500h GT
LEXUS LC500h
小高一斗/中村 仁/根本 悠生
85 55.462 2'01.913 BS 24
5 52 Green Brave GR Supra GT
TOYOTA GR Supra
吉田広樹/野中誠太
85 1'03.815 2'01.971 BS 38
9 96 K-tunes RC F GT3
LEXUS RC F GT3
新田守男/高木真一
84 1 Lap 2'01.645 DL 10

ファステストラップ 2'00.290 #777 C.ファグ
※タイヤ BS=ブリヂストン DL=ダンロップ MI=ミシュラン YH=ヨコハマ

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