K-TUNES RACING

ONLINE SHOP

2024.9.21-22 スポーツランドSUGO雨に大きく影響されたレースで快走を見せたが
不運なクラッシュで2戦連続のリタイアに

〇雨によって右往左往したプログラム
〇十分な競争力を持つ新しいレインタイヤ
〇避けようのないクラッシュでリタイアに

第5戦鈴鹿が台風到来の影響を考慮し、12月へ延期されたことで、今回の第6戦SUGOは1ヶ月半というインターバルがあった。しかし天候は再びSUPER GTに厳しい状況に追い込んでいた。元より天気予報では雨となっていたが、レースウィークに入って方向転換した台風がその雨天を刺激し、より多量の雨が降る可能性が高まっていた。
土曜日の朝、予報通りにスポーツランドSUGOは雨の中にあった。直前に予定されていたFIA-F4の走行は、そのまま行われた。フォーミュラマシンは軽量であり雨に対して弱いのだが、それでも走行できたということは意外に走れる状況かと思われた。気温も16℃と低く、レインタイヤを温めるのに苦労しそうな状況だった。
しかし9時15分からの公式練習は、荒れたものになった。開始早々にクラッシュが発生し、最初の赤旗中断。その後11時00分までの1時間45分で、6度もの赤旗中断が発生した。公式練習だけに2台が絡むクラッシュシーンはなかったが、コースオフによる単独クラッシュが多発した。実際に走行していたのは50分ほどで、練習走行の総時間の半分に届かなかった。
K-tunes Racingは、雨の中、今シーズンから投入された新しいレインタイヤのチェックをしたかったところだが、断続的な赤旗中断によって落ちついてテストすることができず、やや消化不良となってしまった。が、そのあたりはライバルチームにとっても、同じ状況ではある。
ダンロップの新しいレインタイヤは、トレッドデザインが縦方向の溝だけで構成された特徴的なもの。SUPER GTではミシュランが2022年にGT500クラスで登場させたが、ダンロップも同じ方向性のデザインとなった。ただダンロップとしては、縦方向の溝だけというトレッドパターンは長年Sタイヤに採用し、磨いてきたデザインであり、そのパフォーマンスには自信もあったことだろう。
ちなみにタイヤの排水性についていえば、縦方向の溝だけが有効であり、その他の溝は寄与しない。横方向や斜め方向の溝は、タイヤのコンパウンドを発熱されるために設定されるのが、基本的な手法となっている。
練習走行では新田守男選手が11番手のタイムをマークし、そのフィーリングも悪くないという手応えを得た。十分なアタックラップが得られたわけでもなく、公式予選ではもっと上位へと立てることが想定された。

午後の公式予選を前に、雨足は強まっていた。果たして公式予選を開始することはできるのか?? SUPER GTの公式予選は、GT500クラスを含めて、トータル1時間30分ほどかかる。そのタイミングまでの天気を見通さなければ、公式予選が中途半端に終わってしまう可能性がある。
14時45分の開始予定時間が、10分遅れ、さらに10分遅れ、さらに10分遅れで、15時15分スタートにまで変更されていった。そして最終的に公式予選は中止となった。
決勝レースのスターティンググリッドは公式練習のタイム順となる。つまりK-tunes Racing 96号車は11番手からのスタートとなった。悪くない位置からのスタートとなる。こういう事態に陥る危険性があるので、常にタイムには注意を払う必要があり、練習走行であってもしっかりとアタックしておくことが重要なのだ。
ただし96号車にとってSUGOは、昨年がポールポジション、一昨年が幻のポールポジションと、トップタイムを競ってきただけに、11位は少し残念な結果ではある。

天気予報では日曜日の午前中には雨が止む、ということだったのだが、それがズルズルと延長されていき、正午を過ぎても雨は降り続いていた。年に一度、東北で開催されるSUPER GTを楽しみにしてきたモータースポーツファンは数多く、SUGOで冷たい雨に晒されながら決勝レースのスタートを待っていた。グランドスタンドは色とりどりのカッパで埋めつくされていた。
予定されていたFIA-F4の決勝レースは、セーフティカースタートのまま、2周を終えた段階で赤旗中断。そのままレースが終了となってしまっていた。まさか同じようなことになってしまうのか?? 一抹の不安がよぎる。
当初は13時30分スタートの予定だったが、14時前後に雨が大幅に弱まるという情報があり、30分遅らせて14時ちょうどへと変更された。それがさらに20分遅れ14時20分というスケジュールになった。まるで前日の公式予選のようではあったが、しかし違うのは雨が明らかに弱くなり、日差しでサーキット全体が明るくなっていたこと。できるだけクリーンな戦える状況でレースを開催したいという考えから、ギリギリまでスタートタイミングを遅らせていったのだ。
直前のウォームアップ走行でコースアウトしたマシンが出てしまい、実際のスタートは14時27分。セーフティカースタートとなったので、フォーメーションラップはなく、すぐに1周目。そして3周終了時点でセーフティカーがピットレーンへ入り、グリーンフラッグが振られた。

スタートドライバーの新田守男選手は前後のマシンとバトルを展開しながら、レースを進めていく。前方のマシンのコースオフによって10位へとポジションを上げた。
最初の難敵は56号車GT-Rだったが、レインタイヤにトラブルを抱えているのか、いつものようなエネルギーはない。ペースでは96号車が勝っているように見えるのだが、しかしSUGOはオーバーテイクが難しい。
チャレンジしてオーバーテイクに失敗した16周目、後ろを走っていた65号車AMGにオーバーテイクを許してしまう。11位へ後退したが、19周目に56号車GT-Rを攻略し、10位へとポジションを戻す。ペースの良い65号車AMGを追いかけることができ、96号車のペースは十分な戦闘力があるようだった。
21周目に、上位を走る20号車GR86がピットインしたことで、9位へ。8位は65号車AMGにオーバーテイクされた、11号車Zとなっていた。その差は約2.6秒の差があったのだが、22周目には約0.6秒にまで差を詰めていた。1周で2秒の追いあげというのは相当に大きい。
この時、K-tunes Racingはピットインのタイミングを計っていた。いわゆるミニマムは28周ではあるが、GT300クラスの実際の周回数は少ないので、25〜26周を想定することができる。残り数周、新田守男選手はラストスパートをかけていた。実際、この日のベストラップは22周目に記録している。
テール・トゥ・ノーズでピタッと張りつき、11号車Zをオーバーテイクするチャンスを狙っていた新田守男選手は、運命の23周目へと入っていった。

K-tunes Racing 96号車のインカーカメラには、避けられそうにないクラッシュシーンが記録されていた。
23周目、11号車Zの背後にテール・トゥ・ノーズにまで迫った新田守男選手。すでにタイヤのパフォーマンスを失ってペースを大きく落としてしまっていた11号車に対して、どのタイミングでオーバーテイクするのか?? という状況にあった。その時点でのポジションは9位、5位を争う集団の中に居た。
ストレートで伸びるZに対しても、バックストレートで引き離されることなく、ピタリと背後に付いていた。馬の背コーナーを抜け、その立ち上がりで優位なトラクションを使い、新田守男選手はZの左側へノーズを入れ、ドアの位置くらいまで並んだ。次のSPインコーナーは左コーナーで、新田守男選手がイン側となる。
だがレースである。11号車のドライバーもまた必死にポジションを守ろうとしていた。7位からスタートしたものの、タイヤが終わってしまい、ポジションを落とす一方となっていた。96号車も同じであるが、そろそろドライバー交代+タイヤ交換のタイミングになろうとしていた。つまり残り数周、スタートを担当したドライバーにとっては、ラストスパートということになる。
SPインコーナーに入ろうとした11号車は、目の前にスローダウンしていた25号車GRスープラが現れた。まだ路面がウエットの状態ではあったが、チームは早めにスリックタイヤへと交換し、ピットアウトしたばかりでタイヤのウォームアップも不十分。そのため、かなり遅いペースでしか周回できなかったのだ。11号車のドライバーにとっては、予想以上のスローペースだったに違いない。
11号車のドライバーは25号車の速度があまりに遅くて慌てたのだろう、反射的にステアリングを左に切って、避けようとした。しかし、そこには96号車が存在しており2台はクラッシュし、さらに11号車は25号車の後部にも追突してしまった。
最もダメージが大きかったのは96号車で、右フロントのサスペンション周辺を破損し、ピットまでマシンを戻したものの、応急手当てができるレベルではなく、リタイアとなってしまった。

レースは65号車AMGが、前戦富士に続いての2連勝を飾った。96号車よりも後方の15位からスタートし、序盤にバトルしていたマシンが、優勝したのだ。少なくともレインタイヤのペースは、それほど変わらなかった。
対してK-tunes Racing 96号車は、2戦連続のリタイアとなってしまった。いずれも避けようのないトラブルだったとはいえ、結果は結果だ。競争力を持ち、好成績を残してきたSUGOで、何とか上位入賞を果たすことが、苦しんでいる今シーズンを打開する大きなチャンスだったはずだ。
新しいレインタイヤのパフォーマンスについて、確認できたことが今回のレースでの大きな収穫といえるだろう。残り3戦、再びレインコンディションの可能性もある。
次戦は大分県のオートポリス。10月19日(土)〜20日(日)、3時間レースが開催される。長距離レースだけにさまざまな要素が絡み合うが、K-tunes Racingとしては優勝経験のあるコースだ。不運で失った2レースを埋め合わせるような走りを待ちたい。

コメント

  • 影山正彦チーム監督
    影山正彦 チーム監督

    「レインタイヤも厳しくなってきて、そろそろドライバー交代のタイミングだ、と思っていたところでアクシデントが起きてしまいました。いいペースで走れていたんで、本当に残念なレースになってしまいました」

  • 新田守男選手
    新田守男 選手

    「序盤はペースが上がらなかったんですが、56号車をバトルして抜いたあたりから良くなって、ドライバー交代の前にひとつでもポジションを上げようと狙っていたんです。クラッシュを避けるのは困難でした」

  • 高木真一選手
    高木真一 選手

    「今回は新しいレインタイヤを全開で走ることができたのが、収穫でした。決勝レースは新田選手が10位以内で走っていたので、後はボクがしっかり走れば良い結果になるかなと思っていたんですが、悔しいですね」

リザルト2024 AUTOBACS SUPER GT Rd.6 SUGO GT 300km

9/22 決勝レース スポーツランドSUGO 天候:雨/晴れ 路面:ウエット/ドライ

Pos. Car No. Machine Driver Laps Time / Gap Best Lap Tire SW
1 65 LEON PYRAMID AMG
Mercedes AMG GT3
蒲生 尚弥/篠原 拓朗
79 2:11'59.248 1'21.982 BS 50
2 45 PONOS FERRARI 296
FERRARI 296 GT3
K.コッツォリーノ/リル・ワドゥー
79 4.032 1'23.063 MI 14
3 777 D'station Vantage GT3
Aston Martin Vantage GT3 EVO
藤井 誠暢/C.ファグ
79 24.722 1'22.530 DL 50
4 7 Studie BMW M4
BMW M4 GT3
荒 聖治/N.クルッテン
79 35.217 1'22.941 MI 38
5 61 SUBARU BRZ R&D SPORT
SUBARU BRZ GT300
井口卓人/山内英輝
79 40.927 1'23.395 DL 6
R 96 K-tunes RC F GT3
LEXUS RC F GT3
新田守男/高木真一
23 56 Laps 1'29.525 DL 14

ファステストラップ 1'21.567 #31 小高一斗
※タイヤ BS=ブリヂストン DL=ダンロップ MI=ミシュラン YH=ヨコハマ

Photo Gallery