K-TUNES RACING

GT World Challenge Asia 2023 Series PreviewGTワールドチャレンジASIAに参戦開始
SUPER GTとは異なるGTレースに注目

K-tunes Racing 11年目のシーズン、新たなカテゴリーへの参戦をスタートさせる。そのレースはGTワールドチャレンジASIAだ。
ヨーロッパで開催され人気を博していたブランパンGTシリーズを、2017年にアジアへと移植したのがブランパンGTアジアシリーズ。2019年からは現在のGTワールドチャレンジASIAへと名称が変更されている。

開催されるサーキットは2023年シーズンはタイとマレーシアでそれぞれ1大会、そして日本で4大会の、計6大会12レースとなっている。2022年からは日本で開催される4レースがジャパンカップとなっていて、ASIAシリーズの中にもうひとつのチャンピオンシップが設定された形で、一部のレギュレーションにアレンジも加えられる。
ヨーロッパではレース時間が1時間のスプリントカップと、3時間以上のエンデュランスカップの2種類が設定されているが、アジアではスプリントカップと同等の1時間のレースとなっている。参戦可能なマシンはGT3指定のヨーロッパとは異なり、人気が拡がっているGT4や超高性能なGT2、さらにはポルシェカレラカップ用マシンなどが該当するGTCなども参加が許されている。
ただし今シーズンの日本ラウンドにはGT3のエントリーが多く、GT3とGT4以外のマシンはエントリーできない状況のようだ。
K-tunes Racingは、SUPER GTで慣れ親しんだLEXUS RC F GT3に加え、新たに導入したGR Supra GT4の2台で参戦する。ちなみにRC F GT3はSUPER GTのレギュレーションもあり、同じ個体は使用できないので、別の個体となる。

参戦するドライバーは2人1組で、その組合せによって参戦するクラスが異なる。FIAのドライバーカテゴライゼーションというのが毎年発行されているのだが、そこでプロドライバーを主にパフォーマンスによって、プラチナ、ゴールド、シルバー、ブロンズという4つにランクしている。アマチュアドライバーは自動的にブロンズとなる。プラチナ、ゴールドのドライバーはブロンズのみ組むことができる、といった縛りもある。
Pro-Am(プロ-アマ)クラスは、1人はブロンズで、もうひとりはシルバー以上の組合せ。
Silver(シルバー)クラスは、シルバー2人の組合せ。そしてAm(アマ)クラスはブロンズ2人の組合せとなる。
またGT4では、Silver-Am(シルバー-アマ)クラスではシルバーとブロンズ、Am(アマ)クラスではブロンズ2人というクラス設定になっている。さらにGT2やGTCはPro-Amのみのクラス設定となっている。
このクラス分けから判るように、メインとなるのはアマチュア、いわゆるジェントルマンドライバーということになる。基本的にはプロドライバーと組めばPro-AmクラスやSilver-Amクラスになり、仲間と組めばAmクラスになるわけだ。ちなみに最もパフォーマンスが高いはずのSilverクラス(プロドライバー同士のペア)は、レース結果に対してペナルティが与えられる。
K-tunes Racingから参戦するのは、GT3 Pro-Amクラスに末長一範選手と新田守男選手(シルバー)のペア、GT4 Amクラスに野上昌範選手と藤井大温選手となる。

レース自体は1時間で、GT3とGT4の混走となる。ドライバー交代が義務付けられ、しかもその交代時間が10分間設定される。この時間を「ピットストップウインドウ」と呼ぶ。つまりチームが独自にピットストップのタイミングを決めることができない。
1大会に2レースが行われるが、土曜日のレースと日曜日のレースではスタートドライバーは入れ代わらなければならない。土曜日のスタートドライバーは、日曜日には後半を担当する。
Pro-Amクラスのペアの場合、最終的に順位を決する後半のパートか、あるいは走行時間が長いほうにプロドライバーを配したほうが、いい結果が生れる可能性が高い。しかし強制的に入れ換えなければならないレギュレーションなので、どちらのパートも走ることができる。
タイヤはピレリのワンメイクで、コントロールタイヤが使用される。予選・決勝で使用可能なタイヤは最初の大会が5セット、次の大会からは4セットとなっている。(プラクティスなどで使うためのストックが2セット、さらにブロンズドライバーのチームには1セットのオプションが用意できる)
つまり2レースあるとはいえタイヤの数は十分に用意されていて、ドライバー交代のタイミングも指定されている。というようなことから、SUPER GTのような戦略的なレースは実行できない。あくまでドライバーが主体で、走ること以外の面で制約の少ないレースを戦うことになる。

シンプルにいえば、SUPER GTはプロドライバーとレーシングチームが技術と才能をぶつけ合うプロフェッショナルなレースで、GTワールドチャレンジ・アジアは最高峰のツーリングカーであるGTマシンを使ってジェントルマンがモータースポーツに挑むレースということになるだろう。同じGT3マシンを使うとはいえ、全く方向性が違う。
そんなレースで観るほうは面白いのか? 疑問に思う人もいるに違いない。しかし、そんな不安は簡単に吹き飛ばされることだろう。
K-tunes Racingも参戦しているインタープロトシリーズはドライバー交代のないスプリントレースで、プロドライバーとジェントルマンドライバーがそれぞれのレースを同じマシンを共有して戦っている。そのジェントルマンレースが面白くないのか?? といえばそんなことはないのだ。むしろプロのレースよりも面白いという声さえある。
もちろんラップタイムはプロには及ばないし、アクシデントとなる場合もある。しかしスイッチが入ったかのように急にペースが上がったり、何かを掴んだかのように走りが変化したり、プロよりもノビシロが大きいだけに観客は興味深くレースを楽しむことができるのだ。
GTワールドチャレンジ・アジアはプロフェッショナルな速さとは少し違う、モータースポーツの一味違った魅力を発見してもらいたい。

カレンダー

GTワールドチャレンジ・アジア 開催日程

Rd.開催日程開催サーキット
第1戦・第2戦2023年5月13日~14日チャン・インターナショナル・サーキット(タイ)
第3戦・第4戦2023年6月17日~18日富士スピードウェイ
第5戦・第6戦2023年7月15日~16日鈴鹿サーキット
第7戦・第8戦2023年7月22日~23日モビリティリゾートもてぎ
第9戦・第10戦2023年8月19日~20日岡山国際サーキット
第11戦・第12戦2023年9月22日~23日セパン・インターナショナル・サーキット(マレーシア)